’25. K-⑧
8月も終わろうとしているのに、未だに真夏です。この暑さは9月まで続きそうで、クレイジーですね。また、コロナ(ニンバス)ウイルスが増加しているようで、皆さん、くれぐれもお体に気を付けてくださいね。
さて、最近、YouTubeで昭和の時代の日本映画がいくつも配信されて、とても嬉しくなります。中でも若尾文子さん主演の「越前竹人形」は、何度も観ているのに、また観てしまいました。若尾文子さんが美しく、悲しく、そして、西村晃氏がとても憎たらしい。そんな悲恋ドラマで、泣けてしまう映画です。また、堀川弘通監督作品の「白と黒」は、1960年代の日本のサスペンス映画の中で最高だと思っていて、同監督の黒い画集シリーズ「あるサラリーマンの証言」も素晴らしいです。
「そんな古い映画、どうかな?」と思っている人には、「昭和40年生まれの映画レビュー室」をお勧めします。映画オタクの2人が「白と黒」、「あるサラリーマンの証言」を詳しく紹介しているので、これを観ると、きっと本編も観たくなると思いますよ。
昨年、WOWOWで映画「パーフェクト・デイズ」を録画して、観たいと思いつつ、そのままの状態にしていたのですが、先月、ギターの隆明君から「来生さん、『パーフェクト・デイズ』観ました? とても良かったですよ」と一押しされ、遅ればせながら観ました。いやー、もっと早く観ればよかった。とても素晴らしかったです。
小津映画を敬愛するドイツの監督ヴィム・ヴェンダース氏の作品で、役所広司演じるトイレの清掃員の日常をドキュメンタリー・タッチで描いているのですが、日常を丁寧に描くと、こんなにも面白く、素晴らしいのだと感じさせられました。映像も素晴らしく、癒され、心地よい余韻が残りました。こういう映画を退屈させずに観させてしまうのは、すごいな。
寡黙で、孤独で、毎日の決まったルーティンで過ごし、それでも、きちっとした楽しみを持っている。カセットテープ、ガラケー、レトロなカメラ。これでタバコがなかったら嫌だなと思っていたら、コンビニでロングピースを買って、三浦友和氏と吸うシーンがあって、愛煙家の小生としては、少しホッとしました。
面白く、印象に残ったシーンがいくつかあります。その1つが、よく通る道で更地になっている場所があり、そこにいたお爺さんが「ここは何があったんだっけ?」とつぶやくシーン。役所広司も思い出せずに首を傾げるところが面白かった。自分にも、よくあるんです。車でよく通るところが、いつの間にか更地になっていて、「ここ、何があったっけ?」ということが。
映画は、音楽と同様、人それぞれの好みなので何とも言えませんが、「パーフェクト・デイズ」はとても良かった。お勧めします。また、YouTubeで「現代に蘇る小津安二郎の世界」というドキュメンタリーを観ると、きっと小津映画を観たくなる方もいらっしゃると思います。そういう方には、「彼岸花」、「秋刀魚の味」、「秋日和」、「麦秋」、「お早よう」をお勧めします。もっと古い作品では「一人息子」、「長屋紳士録」などもお勧めです。
では、今回はこの辺りで。ご機嫌よう。
8月末日 来生たかお
〈追伸〉 9月は結構ハードなツアーになると思いますが、ガンバリますよ。50th Anniversaryライブの準備もコツコツと進んでいます。
